筋肉は線維状の細胞でできていて、その線維には複数の種類があります。大雑把に言うと筋線維は主に遅筋線維と速筋線維という2つの種類にわかれます。前者は疲労に強く、長時間にわたって働くことのできるタイプです。後者はスタミナに欠けているのですが、一気に大きな筋力を発揮できるタイプです。さらにこのタイプは、肥大しやすいという大きな特徴を持ち合わせています。筋線維のタイプの割合は遺伝的に決まっているため、トレーニングで変えることは不可能とされ、一般人の割合は両タイプの筋線維が大体50%対50%と言われています。

ところが、エリートスポーツ選手の場合はどちらかのタイプのほうがズバ抜けて多くなっています。例えば、長時間の筋力発揮を必要としているマラソンランナーの場合は、速筋線維よりも遅筋線維のほうが多い傾向があります。遅筋線維は発揮できる筋力は少ないのですが、長時間の活動を繰り返してもなかなか疲れない性質を持っているのです。また、短時間で多くの筋力発揮を必要としている競技の選手は、遅筋線維が少なく、速筋線維のほうが多い傾向にあります。例えば、スプリンター、ボディビルダーや重量挙げ選手などが代表的です。

つまり、筋線維のタイプであなたに合うスポーツや競技が決まるわけです。もしマッチョになりたいのであれば、速筋線維が多ければ多いほど結果が早く現れるというわけ。

しかし、筋線維のタイプを理由に好きなスポーツや競技を諦めてしまうのは単なる言い訳に過ぎません。競技で勝つためには筋線維のタイプも大事なのですが、それよりも大切なのは原動力となるモチベーションです。1970年代にボディビル界を席巻していたアーノルドシュワルツェネッガーは、遅筋線維が多いと言われています。彼は子供のときに他の人と比べて、身長が高く細い体型でした。しかし、メンタルトレーニングなどに励んだ結果、世界でナンバーワンのアスリートになることができたのです。

この文書を読んでいるあなたも、筋線維のタイプを成功できない言い訳にしないでください。絶対、あなたにもできます。

筋肉によって筋線維のタイプが違う?

先ほどから述べているとおり、筋線維のタイプは遺伝的に決まっています。そして、一般人なら遅筋線維と速筋線維は同じくらいの割合になっていることも研究で明らかになっている事実です。しかし、部位によって両タイプの筋線維は必ず同じ割合となっているとは限りません。つまり、筋肉によって筋線維のタイプの割合が違うということです。一般人でも遅筋線維が多い部位と、速筋線維が多い部位を必ず持っています。

ジムでトレーニングをしている時に周りの人たちを観察してみてください。みんな体型がある程度違います。力こぶが大きな人もいれば、胸板が大きな人もいます。ふくらはぎが細い人や、相当に発達している人も。そういう人たちに話を聞いてみると、ほとんどの場合、大きく発達している部位ほど簡単なトレーニングで済ませているのです。

もちろん、どんなに遺伝的に優れている体を持っていてもトレーニングなしではいいボディスタイルを手に入れることはまず不可能なので、遺伝的に優れていても怠けないようにしましょう。

筋肉の性質

遺伝的だけではなく、もともと遅筋線維か速筋線維のどちらかが多い部位(筋肉)もあります。例えば、体幹を支えている筋肉である腹筋や脊柱起立筋は人間が寝ていない限り常に働いているため、スタミナに優れています。体幹を支える筋肉に加えて、ふくらはぎの奥にあるヒラメ筋も遅筋線維が多いのです。

ちなみに、筋線維のタイプによって筋肉の鍛え方やトレーニングの方法も異なります。遅筋線維が多い部位を高負荷でトレーニングしてもあまり効果は望めません。遅筋線維が多い筋肉に向いているのは高レップと低負荷でのトレーニングです。腹筋を鍛えるのなら、10回とか15回だけでは足りず、できれば30~50回を目指したいところです。しかし、ふくらはぎの表面にある腓腹筋は速筋線維が多い筋肉として知られています。そのため、高負荷と低レップでのトレーニングが必要です。腓腹筋はジャンプ時に使用される筋肉であり、一気に大きな筋力を発揮する能力を持っているので、速筋線維が多くなければなりません。

遺伝的に優れているのは本当に良いこと?

実は遺伝的に恵まれているほど、まじめにトレーニングをするためのモチベーションが極めて低いということが知られています。なぜなら、あまり頑張らなくても体が簡単に反応するので本人は少しの努力でそれなりの成果を得てしまうからです。実は、遺伝的に優れていない人のほうが凄い原動力やモチベーションを持っていることが多いのです!遺伝的に優れていない人ほど苦労してものを手に入れることの大切さを知っています。そういう人のほうが、健康的で格好いい体のために何でも本気で取り組む傾向にあるのです。

この世の中は必ずバランスが取れています。遺伝的にその競技に向いていなくても、モチベーションでそのギャップを埋めて行けば必ず成功するものだと信じています。