脚を強くしなやかに!もも前のトレーニング【6種目】

年を重ねても、誰かに頼ることなく自分の脚で歩きたいですよね。

日本ではよく「足腰を鍛えて強くしたほうが良い」と言われますが、パーソナルトレーナーである私たちも同感です。

若いときは問題なく歩けるため、脚の健康について気にする人はそれほどいないのですが、60歳以上のお客様はみんな例外なく脚からくる問題でトレーニング指導を受けに来ています。

大腿四頭筋(もも前)について

大腿四頭筋の解剖図
(1)大腿四頭筋

もも前の筋肉を解剖用語で大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と呼びます。

この筋肉は名前のとおり、大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋という4つの筋肉からなります。

それぞれの筋肉の起始(始まり)と停止(終わり)は多少異なるのですが、基本的な理解として、大腿四頭筋は骨盤から始まり、大腿骨を跨いで、脛骨に終わるという認識で大丈夫でしょう。

この筋肉の役割は脚を伸ばすことであり、特に階段を登るときの主導筋です。

大腿四頭筋を鍛えるためのエクササイズとしては、レッグエクステンションとスクワットが有名です。

大腿四頭筋を効果的に鍛えるアドバイス

私はパーソナルトレーナーとして、お客様から脚のトレーニングに関していろいろなリクエストを受けています。ご要望は主に2つ、脚を「太くしたい派」と「細くしたい派」に分かれます。

【細くしたい派へのアドバイス】
血液やリンパの流れが悪いために、脚が太くなっていることがあります。そういう場合は、本格的なトレーニングに入る前に代謝アップのための運動をしなければなりません。

【太くしたい派へのアドバイス】
脚は抗重力筋であり、本来は体重を支えることに慣れています。したがって、かなりの高負荷でトレーニングをしなければなりません。

脚トレーニングのQ&A

Q1: 脚のトレーニングをすると、ももが太くなるのではないかと悩んでいます。

答えはNOです!脚というのは一番太くなりにくい部位であるため、どんなに鍛えてもなかなか太くなりません。

なぜなら、足は重い負荷を支えるのに慣れているとても強い筋肉だからです。もし、脚が太くなりやすいのであれば、公園で散歩するだけでも太くなるはずですが、そう言ったことはまずありません。

例えば、体重が70キロの人の場合、片足にかかる負荷が35キロだとしましょう。ところが、片足立ちをしても問題ないのです。

結論から言えば、脚は数100キロといった負荷にも平気に耐えられるようにできているため、太くならないわけです。

Q2: 脚をトレーニングしたら1週間たらずで脚が太くなったような気がします、それはなぜですか?

トレーニングを始めたばかりの人に良くあることです。実は筋肉が1週間でついたという訳ではなく、筋トレの刺激に慣れていない筋肉がちょっとしたトレーニングにも反応しやすいことに起因します。

これは筋細胞内での水分量が増えたことによるもので、数週間経過すれば感じられなくなる現象ですので、「脚が太くなったのではないか」と心配する必要はありません。

Q3: 自転車をこぐと脚が太くなるのは本当ですか?

答えはNOです!自転車をどんなに漕いでも脚は一切太くなりません。

自転車は比較的強度が低いトレーニング器具であり、正しく漕げていれば、脚は細くなっていきます。

競輪の選手は、自転車とは別に脚を太くするような筋トレを行っているため、太くたくましくなっているのです。

大腿四頭筋を鍛える種目

脚のトレーニングは専用マシンを必要としている種目が多いのですが、ここではどのジムへ行っても出来るエクササイズをご紹介します。

①自重スクワット

自重スクワットスタート姿勢
スタート姿勢
自重スクワットエンド姿勢
エンド姿勢

負荷の優しいビギナー向けです。簡単に見えるのですが、実は全身の筋肉を使う複合的なエクササイズです。正しいスクワットは椅子に座ろうとしているような動作です。

つまり、お尻を後ろに突き出すように、股関節から体を曲げなければなりません。正確なフォームであれば20回行うだけでも精一杯でしょう。

②スクワット(バーベル)

バーベルスクワットは最も有名な大腿四頭筋の種目です。

体が硬い人はバーベルスクワットをやる以前に、胸郭や股関節周辺の可動域を広げるストレッチや、自重スクワットを練習するなどして、関節の柔軟性を取り戻しましょう。

※高重量でのバーベルスクワットは、必ずスクワットラックやパワーラックで行うようにしましょう。高重量のバーベルを自分で持ち上げ、肩に乗せようとする行為はとても危険です。周囲の安全に配慮しましょう。

③ダンベルスクワット(ダンベル)

他のスクワットに比べ、ダンベルスクワットはバランスが取りやすいエクササイズです。重りは手に持つため、正しいフォームを習得するのにそれほど時間は掛からないでしょう。

両手にダンベルを握り、ゆっくりとダンベルを横(前ではなくて)に下ろしながら、しゃがんでいきます。大腿骨が床と平行になったら、再びゆっくりと立ち上がりましょう。

※他のスクワットと同様に、しゃがむフェーズでは膝はつま先より前に出てはいけません。

④ランジ(ステーショナリー)

ランジスタート姿勢
ランジスタート姿勢
ランジエンド姿勢
ランジエンド姿勢

ランジのバリエーションは多岐にわたり、効かせられる部位もだいぶ違います。ここでは、トレーニング歴に関係なく誰でもチャレンジできるステーショナリーランジをご紹介します。

ランジという種目はハムストリングス(もも裏)と大臀筋(お尻)の種目として有名ですが、体の傾きや重心を少し変えるだけで、とても効果的に大腿四頭筋(もも前)のトレーニングにもなります。

⑤レッグエクステンション

このエクササイズはスクワットよりも有名な脚の種目と言っても過言ではありません。どのジムへ行っても必ず専用マシンが置いてあります。

膝が弱い人や怪我をしている人でも、このエクササイズで弱くなっている大腿四頭筋を鍛えることができます。スクワットなどと違い、体重が負荷として作用しないことと、体重より軽めの負荷を設定できるからです。

膝が痛みやすい人は、痛みが出ない範囲で行い、動作中に痛みを感じるようであれば速やかに運動を中止しましょう。

⑥相撲スクワット

相撲スクワットスタート姿勢
スタート姿勢
相撲スクワットエンド姿勢
エンド姿勢

この種目もぜひみんなにやって頂きたい優良エクササイズです。

股関節の硬さに悩んでいる人には解決への一歩になるでしょう。

相撲スクワットは脚を大きく開いて行うため、しゃがむ際に股関節がよりストレッチされます。フォームもシンプルであるため、バーベルスクワットと違いバランスが崩れる心配もありません。


相撲スクワットはワイドスタンスで(足を広く開いて)行うため、鍛えられる部位が通常のスクワットと多少違います。内転筋(内もも)とお尻、そして大腿四頭筋がバランス良く鍛えられるのです。効果やフォームも含め、ビギナーや女性にとっては一石三鳥という素晴らしいエクササイズです。