筋トレ動作のスピード

筋トレをご案内している最中、よく質問されることの1つが、動作のスピードについてです。適切なスピードで行えば、トレーニング効果はさらに高まります。この章では、「どれくらいのスピードが良いのか?なぜそうなのか?」を学びましょう。

トレーニング時の動作スピードには大きな意味があります。なぜなら、筋肉はスピードに慣れる性質を持っているからです。
例えば、常に速いスピードでトレーニングをしていけば、筋肉はその早いスピードで力を発揮できるようになります。しかし、もっと遅い速度や通常のスピードでの筋出力は向上しないのです。言い換えれば、トレーニング時の動作スピードは、望んでいるトレーニグ効果と一致しなければなりません。

 

適切な動作のスピード

もし、パワフルなパンチ力を武器にするボクサーを目指すのであれば、速いスピードでのトレーニングが向いていると言えます。ゆっくりとした筋出力が必要な競技の場合は、動作のスピードも遅いほうが効果的です。

トレーニング動作の速さは望んでいる効果と一致しなければなりません。爆発的な力をつけたい人がスロートレーニングをやっても非効率的です。そういう場合は、できるだけ重い負荷を速いスピードであげるしかありません。

また、特別なゴールがなく、普通に筋力や筋肉をつけたい人、身体を強くしたい人なら、通常のスピードでバーベルやダンベルを上げ下げすると良いでしょう。ここでいう通常のスピードという表現は、あなたが歩くスピードをイメージするとわかりやすいかもしれません。私たち歩くスピードは特別な理由がない限り、だいたい同じです。速くもないし、遅くもありません。人間の筋肉は何100万年前からこのスピードに慣れているので、筋力を発揮しやすいのです。

まずは、自分の一番慣れているスピード、遅すぎず速すぎない程度で調整してみてはいかがでしょうか。

負荷が重くなればなるほど、スピードも遅くなるのは当然ですが、極端なスロートレーニングにならないようコントロールしましょう。

自分なりの動作スピードに慣れてきたら、以下のガイドラインを参考にしてみてください。

 

【 ウェイトを上げるスピードは2秒 】

言葉でスピードを表現することは難しいのですが、基本的にウェイトを上げるスピードは2カウントが適切だと言われています。つまり、重りを上げる際は約2秒掛けて行います。それより速いと反動が生まれてしまうため、筋肉への負担が軽くなり、弱い力しか発揮できない筋線維(筋肉の束)だけが動員されて、筋力増強や筋肥大の効果が落ちてしまいます。
特にボディメイクを目的とした筋力トレーニングの場合は、重りを上げるスピードと下げるスピードに注意しましょう。

 

【 ウェイトを下ろすスピードは3秒 】

ウェイトを下ろすフェーズはネガティブとも呼ばれています。このフェーズは負荷を上げるスピードより若干遅くする必要があり、3カウント(3秒)が最適です。速いスピードで下ろしたり、脱力をしてしまうと、重力でウェイトが自然に下がってしまうため、トレーニング効果はゼロに等しくなります。負荷を下げる際は、重力に対抗して筋肉をブレーキのように使い、下ろすスピードを自身でコントロールする必要があるのです。

【 重りを下げる動作を強調するわけ 】

ウェイトを扱う速さに関して、なぜゆっくり下ろす(戻す)ほうが良いのでしょう。それは、筋肉は伸びながら力を発揮する場面に弱いため、損傷を受けやすいからです。

ウェイトを下ろす局面が筋線維にどう影響するのかを詳しく説明します。筋線維は大きく分けると、遅筋線維(赤筋)と速筋線維(白筋)の2種類に分かれます。前者は弱く、あまり筋力を発揮できないのですが持久力に優れています。後者は持続的な力発揮が苦手な反面、強く瞬発的な力を発揮する能力に優れています。これは2種類の筋線維の解剖学や生理学的な違いです、トレーニング時に遅筋と速筋の働き方がだいぶ違うのです。

負荷を上げる際、一番弱くて力のない筋線維(遅筋)から動員が始まります。
例えば5キロのダンベルを上げようとする際には、まず1キロのダンベルしか上げられない弱い筋線維が動員されます。それでも足りないと脳が判断し、次々とスイッチをONにするかのようにして、もっと力の出る筋線維を動員するのです。このようにして、5キロのダンベルが上がっていきます。ところが、物を下ろす際の順番は逆です。一番強い筋線維(速筋)から動員が始まり、そんなに力が要らないと判断されれば、強い筋線維のスイッチが順番にOFFへ切り替わっていきます。物を下ろす際に動員される速筋線維は遅筋線維に比べて肥大しやすく、筋力もつきやすいため、筋トレ効果も高まるわけです。
バーベルを下ろすフェーズ(ネガティブ)をうまく利用するトレーニング方法はネガティブレップ法と言います。これは、筋肥大や筋力増強にとても効果的なのですが、あまり多用しすきぎると疲労困憊(オーバーワーク)に陥る可能性があるため、うまく使い分けることが必要です。高重量を扱うのが苦手な人は、低重量でゆっくりとした動作のトレーニングをおすすめします。

 

ゆっくりとコントロールしながらネガティブフェーズを意識すれば、トレーニグ効果が上がります。それは強い筋線維から動員されるからです。

2017-03-14T16:42:55+00:007月 11th, 2016|