まだボディビルや超マッチョな体が人気だった80年代や90年代は、お尻のトレーニングは女性がやればいいという考えが主流で、男性がお尻のトレーニングをすると「女性らしくなってしまう!」と言う人もいるほどでした。しかし、今は男女共にお尻のトレーニングに興味津々で、「ヒップアップしたい」という理由でジムに入会する人もいるのです。この章では性別に関係なく、大臀筋(お尻のメインの筋肉)の鍛え方をご紹介していきます。

大臀筋の解剖学

「お尻」と言えば、どの部分を連想されますか?実は、お尻は3つの筋肉で構成されています。大臀筋、中臀筋、小臀筋。大きさに合わせて名付けられており、3つの筋肉が重なり合うからこそ、キレイな盛り上がりをみせています。つまり、筋肉の量が多ければ多いほど、盛り上がりが大きくなり、形も整っていきます。こうした理由で、欧米ではセクシーなお尻を作るために、筋トレが欠かせないのです。この他にも、お尻の筋肉は座っている際の関節や神経などを保護するクッションの役割も果たしています。座る時に骨が直接椅子などに当たっていては痛いですよね?また、快適に座れるため、お尻には脂肪がつきやすく、適度な脂肪がついているからこそ、その形はさらに美しくなるのです。特にラテン系の女性は、筋肉と共に脂肪もバランス良くついているため、魅力的なお尻のラインをみせています。

ちなみに、男性の脂肪が溜まりやすい部位はお腹ですが、女性はヒップやお尻周りにつきやすいことを知っていますか?これは進化の過程で女性を美しく見せるために、お尻に脂肪が溜まりやすくなったのではないでしょうか 。

写真:ラテン系の女性

ラテン系の女性のお尻は遺伝的に綺麗な盛り上がりを見せていますが、誰でも正しいトレーニングでお尻のラインをキレイにすることができるのです。

お尻を効果的に鍛えるためのアドバイス

お尻を構成する3つの筋肉は、体で最も大きな筋肉でもあると言われているほど強力です。それに大きな理由があります。お尻の筋肉は上半身と下半身を結ぶ役割を果たしていて、股関節の動きに大きく関与しています。お尻の筋肉がなければ、人間は立つことすらできないのです。つまり大臀筋は、歩く・走る・階段を登るといった日常動作をサポートしてくれている重要な筋肉でもあります。正しくしゃがむ動作であるスクワットというエクササイズは、お尻を強化するためのザ・ベスト・エクササイズの1つです。大臀筋を鍛えるなら、ある程度の負荷で鍛えなければなりません。筋肉がとても大きいため、軽い負荷でのトレーニングでは物足りないからです。

もちろん、すぐに高重量にチャレンジするのではなく。筋トレ初心者は自分の体重でコントロールできる種目や、軽めのダンベルを使ったエクササイズからスタートしてみましょう。

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お尻を鍛える、ザ・ベスト6種目

ここで大臀筋を鍛えるシンプルな7種目をご紹介します。適切な負荷と、個人に見合ったセット数で行えば、どれでも効果抜群です!ただし、人によって関節の可動域や筋力のレベル、志向が違うため、向き不向きや好みの問題も出てくるでしょう。どのエクササイズかで悩むよりも、一通り正しいやり方で試したほうが良いかと思います。

ステーショナリーランジ

写真:ステーショナリーランジ

ランジはとても多彩なエクササイズです。バリエーションによって鍛えられる部位が変わってくるため、下半身を満遍なく鍛えることができます。お尻を鍛えるためのエクササイズですが、お尻だけ鍛えることは不可能です。必ず大腿四頭筋(もも表)とハムストリングズ(もも裏)も協働しています。ランジでお尻を鍛えたいのなら、足幅を広くする必要があります。股関節から体を下げていくフェーズで脛骨(すねの骨)を垂直にキープできる幅が理想です。足幅を狭くすると、膝の動きが強調され、もも前に負荷がシフトしていきますので、ご注意ください。

体を下ろした時に、脛骨がまっすぐにキープできるくらいの足幅を取り、手を腰に添えます。これがスタート姿勢です。ゆっくりと体をギリギリ下までおろしていきます。膝が軽く床に触れても問題はありません。再び体を上げていきます。もし、バランスが崩れやすいのであれば、手をももに軽く当てても大丈夫です。体を上げ下げする時は、常にお尻を意識するようにしましょう。

相撲スクワット

写真;相撲スクワット

相撲スクワットは名前の割に日本であまり知られていないエクササイズです。欧米では人気が高く、通常のスクワットに比べ、お尻を意識しやすい種目です。ヒップに加え、内ももや、もも前の筋肉もよく鍛えられます。腰が丸まらないように体を深く下げていけば、股関節の可動域が広くなり、周辺の柔軟性向上にも期待できます。

足を広げ、ワイドスタンスをとります。両手でダンベルをしっかりと握り、背中伸ばす。これがスタート姿勢です。ダンベルが床に軽く触れるところまで体を下げます。1秒程度止めてから、再び体を上に上げていきます。体を上げ下げする際、お尻を意識するようにすれば、さらに効果が高まります。

<注意>股関節が硬い人は無理をしないようにしましょう。知らないうちに膝が内側に入っていたり、腰が丸まったりしてしまいますので、知識のある指導者に正しいフォームを教わりましょう。続けているうちに、自然と深くしゃがめるようになるので、ご安心ください。

ヒップスラスト

写真;ヒップスラスト①

ヒップスラストはもっとも有名なお尻のエクササイズです。ヒップアップ効果が高い上に、フォームも意外と簡単です。効果が高い理由は筋トレ初心者やはじめての女性でも最初から割と重い負荷で行うことができるからです。

写真;ヒップスラスト②

日本ではあまり見かけない光景ですが、欧米では女性でも100キロを超えるバーベルでヒップスラストを行うのがごく当たり前なのです。

  • ※)安定感のある高重量に耐えられるベンチで行うようにしましょう。
  • ※)我々はベンチよりも安定感のあるラック内で行うようにしています。

バーベルが骨盤の上に来るようにバーベルの下に座り、肩甲骨をベンチに載せます。これがスタート姿勢です。大臀筋に力を入れ、バーベルをできるだけ上に上げます。体が水平になるレベルよりも若干上であれば、なおベストです。大臀筋が収縮し切ってからゆっくりと下げていきます。下げるスピードは上げるスピードよりプラス1カウント遅いのが望ましいです。上げるフェーズで息を吐き、下げる時は息を吸うようにしましょう。足が体から離れるほど、ハムストリングズ(もも裏)の筋肉も動員されます。決して悪いことではありませんが、お尻にフォーカスしたいのであれば、自分の体格に合ったフォームを見つけましょう。

クレーン

写真:クレーン

クレーン(別名:ワンレッグデッドリフト)の最大のメリットは片足ずつお尻が鍛えられることです。お尻に加え、バランス能力や股関節を安定させるスタビライザーの筋肉も鍛えられます。手にダンベルを握り、片足に重心をシフトさせてから、片足立ちになります。これがスタート姿勢です。バランスをとりながら、ゆっくりと体を股関節から前に曲げていきます。体が水平になったら、ゆっくりと立位に戻していきます。バランスが崩れやすい方は、壁を使って片手で体を支えると安定して行うことができるようになります。体は股関節から曲げるようにしましょう。足を膝から曲げてはいけません。足から曲げると、膝に余計な負担をかけてしまうからです。

ヒップリフト

写真:ヒップリフト

ヒップリフトは家でも簡単にできるビギナー向けの筋トレエクササイズです。両足を床につけて行うのが基本ですが、片方を上げて行えことで、強度が増します。このエクササイズは自分の体重を負荷として利用しているため、場所を選ばないという大きなメリットがあります。もちろん、慣れてくれば物足りない強度となるため、中級者ならヒップスラストというエクササイズがオススメです。床で仰向けになり、足を膝から曲げ、しっかりと両足を床につけましょう。これがスタート姿勢です。お尻に力を入れ、体をできるだけ上に押していきます。上で一度止めてから再び下ろしていきます。トレーニング効果を上げる意味で、下でお尻が軽く床に触れる程度にしましょう。毎回お尻を床につけると、強度があまりにも下がってしまいますので、トレーニング効果もかなり薄れていきます。

スクワット(自重)

写真:自重スクワット

自重スクワットは全身を鍛えるのに効果的なエクササイズです。体力に自信のある人でも正しい動作で30回も連続して繰り返せばヘトヘトになります。一見簡単そうに見えるのですが、正しくやればなかなか辛いのです。欧米では、1日100回チャレンジをする人もいるくらいです。回数が多ければ多いほど、心肺機能も強化されていくでしょう。

足を肩幅程度広げ、まっすぐに立ちます。バランスのために手を前に伸ばすと良いです。これがスタート姿勢です。ゆっくりとしゃがんでいきます。自重スクワットであるため、完全に座った状態までしゃがみましょう。下で一度止めてから再び立ち上がりましょう。しゃがむ時に膝がつま先より前に出ないようご注意ください。大切なのはお尻を後ろに引くことです。わからなければ、イスに座る動作をイメージしてみましょう。